2015年9月6日日曜日

20150906-01

おっぱいが大きくなったって誰も喜んでなんてくれないしお気に入りのワンピースで無残に潰される、そんなんだったらもうやせるしかないなと思ったわたしは今日から牛乳を飲むのをやめることを決めた。一日二リットル牛乳を飲むと一ヶ月に一カップおっぱいが大きくなるのはあなたもご存知のとおりの事実、だけど牛乳は摂取しようとしなくても食事のそこかしこに入っている。コロッケのつなぎ、だいすきなオムレツ、グラタン、クリームシチュー、そこかしこからわたしは一日二リットルの牛乳を摂取している。もうこれは牛乳がない世界に行くしかない、牛のいない星に行くしかない、だからわたしはロケットに乗って地球を脱出したのであった。





******************************************


悪夢は見なかった。


赤茶色の鉄柵にしがみつきながらわたしたちは浮かび上がるその瞬間 を待つ。全体重を支えるべくぎゅっと握った鉄は冷たく、4歳児にこれはまだ早いのではないかとわたしは思う。もう飛ぶのには慣れてしまってわたしは余裕だ けれど、初めてこの鉄柵で上空を移動するのはなかなか難しい、二本の腕と二本の足で鉄柵にしがみつくというのはぞんざい安易な事だけれど、それがすわ上空 となると緊張感が違うのだ。


わたしにはなにもないから、わたしは誰のことも幸せにできない。 毎日おいしいものを食べさせてあげる程度のお金とか、家賃を気にせず住める一軒家とか、将来有望な太いパイプとか、人並みの幸せな家庭を持たせてあげる身 体とか。わたしの好きな人が今わたしと一緒にいなくて、わたしの好きな人が今わたしじゃない他の人と幸せになっていて、わたしは心底わたしの好きな人から 離れたわたしの判断を賞賛する、人生にケチがつかなくて、ほんとうによかった。
時間も最大の財産のうちの一つ、だから、わたしはわたしの 好きな人に、どうしようもならないわたしとのことに時間を費やさせてはならないと思う。だったらどうすればいいかってもう何年も前に決めたはずなのにわた しはそれをできていなくて、なんでわたしは、わたしのことが可愛くなってしまうのだろうって、どうしようもない気持ちになる。自分よりもちゃんと誰かのこ とが好きになれていたら、わたしは多分きっと、ちゃんと一人でいられるはずだ。