2012年5月19日土曜日

20120519-2

まるっこくてやわらかい、すこし篭った低音を、勝手に耳が追う。
kのひっかかる発音、mの丸み、sの抜け、かわいいあの子の歌声の、その奥に転がる低音を、
わたしの耳が勝手に追う。
ぱらぱら飛び跳ねる低音の、振動する様子が目に見えるようで、
弦の硬さが指先に再現されるようで、
追いかけたくなくても追っている、開き直って追いかけるとつかめない。
だからわたしはなぞれない、きみのこと、なぞれない。


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今日は日本中のいろんなところで結婚式が行われているようだ。
朝起きて念入りにお化粧をして、ワンピースに着替えて部屋の中で所在無い。
まだ出かける時間じゃないし、出先で崩れた化粧を直すのは大変だからまだ出たくない。
でもおうちでゴロゴロしても、ワンピースにしわがつく。
だからってぬいでしまうと、また着なおしたりもたもたして万が一遅刻したらこわい。
だからわたしは完璧な化粧とワンピースで、部屋の中で所在無い。



だれかがつぶやいた曲名が気になって検索をしたら、43秒だけ視聴ができた。わたしはそれをぐるぐる聴く。43秒しかないからあっという間に終わってしまう、クリック。終わる、クリック。ああそういえばわたし今日、こわい夢の合間に、ベースを買う夢を見たな。ギターだと思ったら4弦で、でもわたしの知っているベースの弦の太さじゃなくてまるで4弦ギターみたいな、黒っぽいの。
わたしのオレンジドロップはもう何年も、仕事をしていない。



今日のこわいことについて考えていたら、自分をいくら殺しても殺したりないくらい気持ちになってしまったから、やめよう。
あやまりかたがわからないからあやまれていないけどずっとごめんなさいとおもっていた。穴を掘って生きたまま土に埋めて殺してやりたいくらい申し訳なく思っている。ごめんなさい。



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43秒はみじかい。







20120519-1

かごめかごめをしていた。



正確に言うとただ、「円陣になってぐるぐる回っていた」というべきかもしれない。かごめかごめは、真ん中に人が一人いて、その周りを手を繋ぎ輪になって回るというものだ。わたしがしていたのは真ん中にはだれもおらず、みんなで肩を組み俯きさながら試合前の何かの選手のように円陣を組み、それでグルグル回るというものだった。俯く。目を開けては、いけない。目を瞑り真っ暗なはずの視界には、細い明朝体でたくさんの文字が躍っていた。赤と青の、ひらがなと漢字。なんて書いてあるかは読んではいけない。そして真ん中に人を置く代わりに、その円陣の周りをだれか一人が回る。誰かは、知らない。髪が長く、顔が見えない、多分、女の人。その人を直視してはいけない、連れて行かれるから。脳内に踊る文字を解読してはいけない、それはその人からのメッセージだから。わかってあげると連れて行かれる、気付いてあげると連れて行かれる。それが怖くて、必死に目を瞑りしっかり肩を組みグルグル回った。グルグル回るわたしたちのまわりをその人もグルグルまわっているようで、いつまでこうしていればこのキチガイじみた遊びが終わるのかわからず、でも終わりなんて考えてしまったらそれこそ思うツボだから、必死で「わたしはいま、楽しい遊びをしているんだ」って思い聞かせた。


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携帯のメールのメモリーの、「あ」から順番にメールを打つ。


18で、孤独で、手首から流れる血が好きな女の子はそれをひたすら隠して生きていた。誰かにわかってなんてもらわなくてよかった、そんなことより知られたくなかった。自分のしている行動が、どう見られるかは熟知していた。だから暗い絵をかいていることも、左手首も全部隠して、世の中と折り合いをつけて生きていた。なのにその夜どうしたことか、多分寂しくなったのだろうな、少ない携帯のメモリーの、「あ」から順番にメールを打った。自分のかいた暗い絵を添付し、「18歳のXXXXは、こんなにがんばってこの絵をかきました。どうかみんなに広めてください」という文言で。
夜の寂しさでおかしくなっていた自分を、送信トレイに見つけて血の気が引いた。ああダメだ、これでもう、数少ない世界とのつながりが切れた。

おかしな行動をするときの自分を、朝になって酷く後悔することは、多々ある。
でもその自分のおかしな行動も狂った理性に裏付けられ、論理的に行われているからたちが悪い。
「 牛乳がなくなっちゃった、牛を探しに行かなくちゃ」
「おなかがすいたな、そうだ、目の前の人を殺して食べよう」

「あのこがとてもすきだな、だれにもとられたくないから、XXXXXX。」


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おきたらおなかがいっぱいだった。昨日の夜なんであんなにおなかがすいていたのだろう。もしかするとわたしの脳は、「眠たい」と「おなかすいた」を混同しているのではないか。もしくはわたしの脳は、「おなかいっぱいになった」を感じるのが、酷く遅いのではないか。きっとそうだ、だからどんぶりいっぱいラーメンを食べて、全然おなかが満たされなくて、しょうがないなと次の麺をゆでているときに、だんだんおなかがいっぱいになるんだ。だからきっと、晩御飯を食べて、おなかいっぱいだなって気付くのが、翌朝になったりするのだ。


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わたし今幸せで仕方がないから、きみはそのその届かない手をせいぜい伸ばし続ければいい。


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普遍的な世界への愛は個人を救うか。


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おふろはいってきます。






2012年5月11日金曜日

20120511

昨日までの数年間がぼくの前から消えた。


まるで昨日のように思い出せるそれらは、実際にはもう十年前くらいのものだ。その事実に愕然とする。
畳の上に敷かれた電気カーペットの暖かさ、少し大きめのおばあちゃんの木のお椀。無造作に詰まれた地方紙と頭上を飛び交うやわらかい方言。
しあわせな記憶は、日常の隙間から忘れたころに顔を出す。それに飲み込まれたら終わりだって知っているから、必死で見ないふりをする。 一本しかない線路と無人駅、瓦屋根にうっすら積もった雪。包まれているころからしあわせすぎて死にたくなったけど、遠くになった今もそれらはぼくを殺そうとする。「なくなってからはじめて、それが大事だったって気付くんだよ」ってよく言うけど、ぼくはそれを持っているときからずっと、それがとても大事なものだって知ってた。だからよくほっぺたをつねって、「これが現実なんだ」って確かめてた。「わたし今ここにいる、今、いま!」 どんなに確かめても時間は止まってくれなくて、今日も昨日も10分前もいとおしくてたまらなかった。

ばかだな。


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ぼくはぼくの考える合理的理由から後悔をしない。

こうかい[―くわい] 1 【後悔】(名) スル
あとになって悔やむこと。

くや・む【悔(や)む】[動マ五(四)]
失敗したことや、十分にできなかったことなどを、あとから残念に思う。後悔する。「若いころの不勉強が―・まれる」

残念には思っているけどしかたないと思っているし、残念だなって気持ちはあるけどでもそれでよかったと心底思っている。だから、後悔をしない。
でも自分を客観的に見て、「ぼくは後悔をしない」ってずっと言い聞かせているということはどういうことなのかな、ってことも、本当は気付いている。
でも、してもしかたがないことは、しない。
そういう自分の気持ちと切り離したところで、これが「よいことだ」ってのはわかってる。
たとえ言い聞かせる姿が惨めに見えたとしても、それさえ含めて、ぼくは幸せだ。


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瓦屋根も側溝も見るもの全部がめずらしかった。
北海道じゃないところにも雪が積もるのがふしぎだと思った。
小さな無人駅から一人で歩いた。神社の境内、標識、二重じゃない玄関、土間。
畳の上に敷かれたカーペット、お父さんのパソコン、飾られた賞状、お仏壇、おばあちゃんの籐の椅子、しらないチェーンのお店のチラシ。
手作りの旅行のしおり、鈍行列車、てぬぐい、おばけの出る国道。
私鉄、山の上の神社、甘酒、




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なんで人は泣くんだろう。

例えば赤ちゃんが泣くのは、しゃべれないから、
しゃべるかわりに泣いて訴える。
大人になったってそういう人はたくさんいる。
でもわたし、泣いて訴えたいことなんてなにもない。
だから泣くのがとても理不尽に思えて、
こうやって理屈っぽく考えるから泣けなくなって、
澱ばっかり溜まる。


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10秒逸らしたらなにがそんなに悲しくて泣きたかったのか理解ができなくなるな。
賢者タイムって多分こんなかんじ。






ちょっとすっきりしてツイッターを見てみたら「射精すぞコラ!」ってツイートしている人がいて、「これはわざわざ『しゃせい-すぞ』って変換したのかな、それとも辞書登録したのかな」って考えちゃって全てがどうでもよくなりました。おわり。

2012年5月6日日曜日

20120506-

しぬまでねむれるおくすりがほしいな。


起きているのにずうっとねむっているみたいだ。鈍い。重たい、鈍い。

2012年5月4日金曜日

20120504-dull

世界は彼女の味方をしない。



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報われたいかなぁ、本当のことを言えば。うーんとね、すごく正直に言うと、報われたいのかもしれない。でもどれだけ時間をかけても僕が彼の場所を手に入れられることはないし、僕が一番好きな君の笑顔は僕に向けられたものではなくて彼に向けられたものだよ。だからね、うーんとね、本当の本当はそりゃあ報われたいさ、報われたいけど、それを口にしてしまうと全部崩れてしまう気がするんだ。だからね、「べつに、ぼくは、かのじょがしあわせならば、それでいい」。

 
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「どんなに手を伸ばしても先約がいるから、おまえの手がわたしのこころのいちばんおくにとどくことは、ない」ってはっきり言ってくれるのはすごく素敵だなあと思って、しびれた。おんなのこはいつだって甘い顔をする、なにもかもをうやむやにして微笑んで飲み込む。おんなのこのそういうずるいところ、僕もきらいじゃないけれど、それでもやっぱりこうやって、すっぱり言い切れるのってすごくかっこいいなって思う。いいな。すごくすてき。わたしきみのそういうところが、とてもすきだな。



連休なので外に出てきた。好きなことをやっているひとはみんな、かわいいし、かっこいいし、すてきだ。本当は好きなことをやるために、好きじゃないことを頑張ったり、好きなことを純粋に好きでいたいだけなのに利益が絡んでどろどろしたり、いろいろあると思う、しらないけどね。僕の好きなあの子は好きだけじゃ乗り越えられないいろいろに殺されたし、あの子だってあの子だってそうだ。でもぼーっと人ごみとかを眺めていたら、ああなんだか、みんな自分が何がしたいか、何がほしいか、ちゃんとわかっているのだなぁってとてもほほえましくなって、うらやましくなった。いいな。かわいい。
わたしずっと目をそらしていることがあって、この前ブログを書いたときにもああちゃんと考えなきゃいけないのになって思って、でもやっぱりもう忘れてしまっていた。なにがしたくてなにがすきなのか、一度わからなくなってしまうと思い出すのがむつかしい。だから唯一わかっていた、「これいやだな」ってことを放棄した。「これいやだな」って思いながらもそれにすがっていたからまだあんまりすっきりはしていない、でも確実に時間にも心にも余裕ができた。いやなことにものすごくたくさんのものを裂いてきていて、それは取り返しのつかないことだけど、まぁしかたがないから、早くなんとなくそれを実感して、なるべく早く自分のことをかんがえられるようになりたいな。




最近?わたし? ほんとうのことをいうと、あんまりXXXXしていない。
だからすごくにぶいんだ。こまっているけどどうしようもない。こまったな。