2012年5月19日土曜日

20120519-1

かごめかごめをしていた。



正確に言うとただ、「円陣になってぐるぐる回っていた」というべきかもしれない。かごめかごめは、真ん中に人が一人いて、その周りを手を繋ぎ輪になって回るというものだ。わたしがしていたのは真ん中にはだれもおらず、みんなで肩を組み俯きさながら試合前の何かの選手のように円陣を組み、それでグルグル回るというものだった。俯く。目を開けては、いけない。目を瞑り真っ暗なはずの視界には、細い明朝体でたくさんの文字が躍っていた。赤と青の、ひらがなと漢字。なんて書いてあるかは読んではいけない。そして真ん中に人を置く代わりに、その円陣の周りをだれか一人が回る。誰かは、知らない。髪が長く、顔が見えない、多分、女の人。その人を直視してはいけない、連れて行かれるから。脳内に踊る文字を解読してはいけない、それはその人からのメッセージだから。わかってあげると連れて行かれる、気付いてあげると連れて行かれる。それが怖くて、必死に目を瞑りしっかり肩を組みグルグル回った。グルグル回るわたしたちのまわりをその人もグルグルまわっているようで、いつまでこうしていればこのキチガイじみた遊びが終わるのかわからず、でも終わりなんて考えてしまったらそれこそ思うツボだから、必死で「わたしはいま、楽しい遊びをしているんだ」って思い聞かせた。


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携帯のメールのメモリーの、「あ」から順番にメールを打つ。


18で、孤独で、手首から流れる血が好きな女の子はそれをひたすら隠して生きていた。誰かにわかってなんてもらわなくてよかった、そんなことより知られたくなかった。自分のしている行動が、どう見られるかは熟知していた。だから暗い絵をかいていることも、左手首も全部隠して、世の中と折り合いをつけて生きていた。なのにその夜どうしたことか、多分寂しくなったのだろうな、少ない携帯のメモリーの、「あ」から順番にメールを打った。自分のかいた暗い絵を添付し、「18歳のXXXXは、こんなにがんばってこの絵をかきました。どうかみんなに広めてください」という文言で。
夜の寂しさでおかしくなっていた自分を、送信トレイに見つけて血の気が引いた。ああダメだ、これでもう、数少ない世界とのつながりが切れた。

おかしな行動をするときの自分を、朝になって酷く後悔することは、多々ある。
でもその自分のおかしな行動も狂った理性に裏付けられ、論理的に行われているからたちが悪い。
「 牛乳がなくなっちゃった、牛を探しに行かなくちゃ」
「おなかがすいたな、そうだ、目の前の人を殺して食べよう」

「あのこがとてもすきだな、だれにもとられたくないから、XXXXXX。」


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おきたらおなかがいっぱいだった。昨日の夜なんであんなにおなかがすいていたのだろう。もしかするとわたしの脳は、「眠たい」と「おなかすいた」を混同しているのではないか。もしくはわたしの脳は、「おなかいっぱいになった」を感じるのが、酷く遅いのではないか。きっとそうだ、だからどんぶりいっぱいラーメンを食べて、全然おなかが満たされなくて、しょうがないなと次の麺をゆでているときに、だんだんおなかがいっぱいになるんだ。だからきっと、晩御飯を食べて、おなかいっぱいだなって気付くのが、翌朝になったりするのだ。


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わたし今幸せで仕方がないから、きみはそのその届かない手をせいぜい伸ばし続ければいい。


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普遍的な世界への愛は個人を救うか。


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おふろはいってきます。






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