2016年10月9日日曜日

20161009-03

おそろしい夢しか見なかった、ふと「何を書いてもよいのだ」と思い心強くなった。自由を奪われるマンガを読んだ、わたしはああいう暮らしをしていた、と思う。逃れても、色濃く影響は残る。

意識を自由に落とせないのならどうでもよい情報を常に垂れ流さなければならない。いろんなことを頭から追い出して脳みそをどうでもよいもので満たす必要がある。
頭は「からっぽ」になんかならない、少しでも空白ができると恐ろしい考えがたちまち侵食してくる。わたしはそれを防ぐために、常にどうでもよい情報で頭の中を満たさなければならない。

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ひどい雨だけれど外に出た、増水し濁った川が恐ろしかった。駅まで行って家に帰る途中、カモが流れに逆らい水面に浮いているのを見た。ときおり首を突っ込んで餌を探していた。川沿いの細い道にはいたるところに水溜りができていて、そこでハトが三羽水遊びをしていた。カバやゾウが水遊びをするように、ハトも水遊びをするのだなぁと思った。雨の日にしか見られないものが見られたので少しうれしくなる。川は、おそろしいけれど、わりあい好きだ。

20160809-02

その山はソフトクリームのような形をしていた。
うずまきのように頂上まで続いた山道と平行に川が流れており、山の裾野には中規模の港町と、海が広がっていた。
 山間の集落はこじんまりとしたもので、しかしとても平和だった。わたしたちはそこでつつましく暮らしていた。

いつもは穏やかな川は一夜にして脅威となる。台風のおかげであふれでた雨水はあっという間に山道を侵略し、車や、電柱や、家を押し流した。普段の凪からは想像もつかないような色ににごった海にはいつもの中州はすでになく、海と山の境目はなくなっていた。
山の頂上にある家まで早く帰らなければならない、家族が待っている。
わずかに残ったコンクリートの道を急ぐ。時折頭上から瓦礫が降ってきて、それをかわしながら進むのは至難の業だったが、なんとか家までたどり着き、家族と合流する。
ふと雨脚が弱まり、わたしは家族とともに海を見下ろす。曇り空なのに明るくて、押し流された港町がよく見えた。ところどころに残った頑丈であろう建物の屋上には数人の避難者がおり、みな一様に「お手上げです」とでもいうようにバンザイをしている。
海は透き通って水面はエメラルドブルーに輝いていて、わたしは「水が何もかもを押し流してきれいになったのだ」、と思う。
しかし、わたしは知っている。今は一瞬の凪であり、すぐにまた、むしろ先ほどよりもひどい嵐が来る。わたしたちはその前に、この家にとどまり続けるか、山を降りあの避難者たちに混ざるか、選ばなければならない。

20161009-01

スーパーで豚バラを買った。家に帰って取り出してみると「品名:ふたりのねこ」と書いてあった。