2013年3月20日水曜日

20130320-02

死んでしまった人間が、唐突にグロテスクに映る。なんとなく髪の毛を切りたくなって、じゃあこの子の髪型にしたいなって思って、それからこの子がすでに死んでしまっていることに気付いて、酷く醜いことをしている気持ちになる。ビデオの中のあの子は顎を上げてこちらを無表情に見つめる、わずかに震える髪先だけがリズムを刻んでいてどんなに声を張り上げてもギターをかき鳴らしてもあの子の表情は変わらない。グロテスクな想像ばかりする、あの子の死因は「アレ」で片付けられた、それは「アレ」で共有できるものであったし、「アレ」以外の具体的な言葉で表すと何かとてつもない不幸が世界に降り注ぐ気がしたからだ。わたしの四肢は相変わらず重い、あの子の真似をして顎を上げると少しだけ呼吸が楽になる。ねえなんで、なんでだろうねって思うけど、世界中の人に愛されて必要とされてもたった一人に拒絶されただけで人は死ぬ、例外は多分、ない。

わたしたちは等しく取替えのきく人材で、等しくなにものにも変え難い。

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