2016年11月3日木曜日

20161103-01

腐ったエメラルドグリーンの川面は凪、カヌーやボートが滑るように川を下る横をわたしは逆流する。何も持たないわたしはでも確実に何かに「乗って」いて、このスピードが落ちることがあれば沈んで死んでしまう予感がある。幅広いこの川はまるで高速道路、正月やお盆の渋滞を逆行している気持ちになる。ジャングルのようだったまわりの景色も下流に向かうにつれだんだんと近代化、工事中の橋をいくつも通り水上に浮かぶ三角コーンをわたしは何本も飛び越える。気付けば頭上には電線が通っていて、それを伝うように進むとより早く移動できた。練習中の女の子のカヌーを奪い取りたくなる、わたしもあれに乗れたなら。

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向かい来る戦車の前部左右から発射される爆弾を打ち落とさなければ自分の陣地後方にいる味方がやられて前線が後退、負けが近付くからわたしは必死だ。打ち落とせて当然、のそれをだんだんと打ち落とせなくなる、爆破された後方の陣地は敵のものになり、前からも後ろからも敵兵が攻めてくる。わたしは持っている銃を戦車ではなく迫りくる敵兵に向ける。10人、20人、30人と殺すけれどまるで焼け石に水、逃げようにもぐるりと囲まれていてどこにも逃げられない。でもこの窮地を招いたのは間違いなくわたしの失敗で、とりあえず目に入る敵兵を撃ち殺し続ける。


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 親戚が来たのに居間に行くのが面倒で自室にこもっていた。拾ってきた子猫を弟が逃がしそうになるから必死で捕まえると指を全力で引っかかれ、噛まれた。でもそんなことよりこの子が外に逃げてしまい、他の犬やカラスにやられてしまわなくてよかった。
なにかひどいことをおばあちゃんにしてしまった気がする。とりなしたくて呼びかけるけれどもトイレに入ってしまったおばあちゃんからは返事がなく、わたしは永遠に彼女が出てくるのを寒い廊下で待つ。

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