2012年10月10日水曜日

20121010-02

敵はカボチャだ、これは比喩ではない。 繰り返す、敵は、カボチャだ。


小学校の図工室にあったような糸鋸やドリル、銀色の鉄の机、何に使うのかよく分からないそれらの機械が半透明のゴミ袋に埋もれている。黄色のPPバンドや透明なビニール、よくわからない梱包資材でゴミ袋はぱんぱんに膨れているから視界が悪い。ところどころにポツリと置いてある南瓜には顔がついていて、廃墟のような工場をまるでハロウィン風に飾りつけたみたいだ。小さく転がっているそれはただの南瓜だ、だけれどもどこかで見たことがある。そもそもわたしはなぜこんなところにいて、何かから必死に逃げているのだろう? 昼間の間に逃げるか勝つかしないと”危ない”はず、わたしは何で今この工場を必死に探索しているのだろう? それにしてもあの南瓜たちにひどく既視感を覚えるのはなんでだろう? ああそんなことを考えている場合じゃなくて、思い出した、わたしはさっきまで、包丁を持ったひとたちに追いかけられていたんだ、日が昇ってその人達がいなくなって、だからわたしは昼間の間になにかしなきゃいけないんだった。それにしてもあの人達わけがわからなかったな、黒いスーツの殺し屋なんて小説みたいだ、顔がカボチャだから表情が読み取れなくてそれが逆にこわかったんだよな、それにしてもここそこに転がっている南瓜、最近どこかで見たような気がするな。




奇妙な一致に気付いたら、「ゲームオーバーですよ」と言われた。”あれ”と”これ”が同じだということ、気付いてしまうともう遅いらしい。気付かないまま、例えば鬱憤を晴らすように、”これ”を衝動的に破壊していればわたしの勝ちだったようだ。でもわたしは今もう気付いてしまったから、今からこれを壊してみても何の意味もないらしい。そのうち日が沈み夜になる、そうしたらわたし、今度こそ逃げられない。






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上の前歯二本、右側のそれが、ぐらぐらしてぽきっと折れるように抜ける。鉄の芯を残してポロリと取れる、でも上手にはまらないから、わたしは今日の午後の予定を全てキャンセルしてマスクをしておうちにかえる。「ごめんね歯が抜けたから」って理由のドタキャンは、同情してくれる人と何を馬鹿なことを言っているのと怒る人とが半々だ。今日はもう歯医者さんはやっていないから、明日朝一で行かなければならない、今日はこのお花見会場から、新幹線に乗って花火大会を見に行く予定だったのに。わたしの舌は無意識に、抜けてしまった部分をなぞる。気になって左側の歯もベロベロしてしまうので、そっちまでグラついてきてしまってあわてて自制するんだけど、ああ多分これも時間の問題だな、どうせならポロっと取ってしまって、歯医者さんで付け直してもらったほうがいいんじゃないかなってぼおっと思う。

抜けた歯は手に持っていられないから口に入れておく、飲み込んでしまいそうで喋るのに苦労する。






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「はがぬけるゆめを見ると肉親が死ぬ」という迷信が本当だとしたら、わたしの肉親はいくらいても足りない。それくらい頻繁に歯が抜ける夢を見る。
わたしの夢には夢占いが入る余地がなくて、つまらない。






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本当のことをいうと、おさけそんなにすきじゃないんだけど、おいしそうなものをみるとまねっこしたくなる。今日、赤ワインと白ワインとおいしそうなジュース(オレンジとかミックスベリーとか秋限定の濃そうなジュースとか、そういうもの)とミックスベリーのジャムとを混ぜてサングリアもどき作った。おさけは、のみたいじきとのみたくない時期があって、いまはどっちでもない時期なんだけど、思い立ったのでスーパーでいろんなものを買ってきて混ぜた。液体ばかし買ったのですごく重かった。おいしい。




絵でも運動競技でも勉強でもなんでも、もしも理想を目指すために上達するのだとしたら、 わたしの料理の才能はこれ以上伸びないと思う、塩胡椒だけの味付けが一番おいしいと思ってしまう。
最近もやしがすごくおいしいのでいつも食べてるのだけど、この夏、もやしを液体にしてしまったから、もやしを買うたび覚悟を試されている気分になって、緊張する。




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わたしにできるのは拡張で、創作ではないなってこと、あんまり認めたくない。



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今月誕生日を迎えるすきなひとがいるけど、何日だったか忘れてしまった。誕生日は、自分のもひとのものも、あんまり重要だと思ったことないからすぐ忘れる。その人には去年も「誕生日何日だっけ」って聞いたから今年は聞けない。多分X日だろうなってのはあるけど自信ない。20日くらいだったとおもう、おめでとうございます。






わたし絵も文章もへただけど、絵は(部屋の照明が)明るくないとかけない、文章は暗くしないとかけない、ふしぎだなと思って、二杯目のサングリアをおかわりに参ります。












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