2015年2月7日土曜日

20150207-01

朝起きてもう二度と起きたくないと思うから目覚ましをかける、明日まで生き延ばすって手段はわたしに限り実に有効だ。
わたしの存在の有無にかかわらずわたしの好きな人が幸せになってくれたらいいって本当に思っているのに全部偽善みたい、自分のエゴの汚さばかり引き延ばして突き付けられ続けてもう何年経つのかな、一生許されることはないだろうって思ってはいたけど実際そんな5年を過ごすともういい加減うんざりする。
たった5年。

******************************************

駅の女子トイレは個室が二つ、奥が開いているのにみんな避けて通るから順番が回ってきたときに入ってみた。血まみれの個室を見て納得したけど、多分血にまみれた手で個室内の壁をベタベタ触ってしまったんだなと思ったからわたしは気にせずそこで用を足す。
トイレットペーパーのホルダーの金属に、ドアの内鍵に、そして左右の両壁に。いろんなところに手のあとが赤くついているけれどタイルの床だって若干血だまり、足元が血でぬるぬるして滑るから左右の壁を押すようにして体勢を保っていたのだなと考えると壁にしつこいほどついた血だって納得、だから何にも怖くなかった。

それでもわたしが個室から出たあと入った女の子が顔を真っ青にして飛び出してきたから、ああこのまま汚れているとこの女子トイレは個室がひとつしか機能しないことになりトイレ待機列がどんどん伸びる、と思って駅員さんに報告をしに行った。ターミナル駅の利用者は毎年増加、東口改札には駅員さんが10人待機していて不測の事態に備えている。
一番暇そうな若い駅員さんに声をかけると出張交番に移動して事情聴取が始まった。「まずは名前をここに漢字で書いてください」と差し出される用紙には既に「サカイ ユキ」と書かれており、これがわたしの名前なのかと一瞬納得するけれど、サカイの字が『阪井』か『阪伊』のどちらなのかわからず逡巡する。
わたしの動揺を読み取って若い駅員さんが「どうしました?」と訊いてくるから仕方なく「わたしはサカイではありません」と吐いた。駅員はそうでしょう、というように頷き、「それではあなたの正しい苗字をこちらに」と掌で促す。
わたしはわたしの正しい苗字を知らない。

******************************************

時間がないけれどラーメンが食べたいと言うわたしを絵里ちゃんはうなぎ屋さんに連れて行く。1000円で食べられるその店の鯛茶漬けは絶品、まるでショートケーキのような見た目も女性に人気、今日みたいにお酒を飲んだシメにはぴったりだと絵里ちゃんは言うし、わたしもまあラーメンを欲して鯛茶漬けを提案されるのは何も間違っていないから大人しく従う。
既に長い列ができているうなぎ屋に並びもせずに、近くの公園で絵里ちゃんはダラダラと喋る。近況報告、彼氏の愚痴、バイト先の店長のウザさについて。そうこうしているうちにわたしの新幹線の時間が迫ってきて、わたしは鯛茶漬けと新幹線、どちらを諦めるかの選択を迫られる。

0 件のコメント:

コメントを投稿