2012年6月5日火曜日

20120605

自転車に乗る、洗濯物を干す、ねこを撫でる。
すきなひととの思い出は日常のなんでもない瞬間からじわじわ染み出してくるのに、すきじゃない人との特別なはずの思い出は、どうしても思い出せない。一度しか行ったことがない遊園地、一度しか見たことがない映画、そういう記憶からすきじゃないひとは見事に欠落していて、なんだかおかしくてひとりでわらった。あの遊園地もあの映画館もぜんぶ、一人で行った気持ちになっているけど、多分だれかと行ったはず。でも誰だったか全然覚えていない、ゆうえんちが楽しかった、とか、映画がおもしろかった、とか、そういうことは覚えているけど同行者の顔は思い出せない。
記憶の改竄が上手だと、とてもしあわせに生きられる。



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のろいが永遠に解けないのがこわいんじゃなくて解けてしまうのがこわいんだよ、もしくは効力が薄れてしまうのが。かさぶたができてきたら急いで剥がす、周りの皮まで巻きこむように剥がす。深く負った傷は確かに痕が残るけど、その痕だって薄くなってきてしまう。僕が死に物狂いで抉ったここホラ見てみてよ、パックリ割れて肉が見えてたのにもうこんなにも薄くなった。これを見てまだ大抵の人は同情の目を向けるけど、本当はこんなものじゃなかったんだよ。止血もせずに家を出た、黒いストッキングがべったりへばりついて脱ぐときとても痛かった、でもそれがもう、このザマだ。例え汚い痕が残ったとしても大抵の傷は放置すれば治ってゆくし痛みも薄れる、呪いは解けなくとも効力が薄れる。死にたくなるほどの痛みだって段々慣れてしまう、そうなるのが一番怖いから、かさぶたできたら剥がす、右腿が痺れたら左腿を裂く。ずっといたくしてないと、そこにそれがあるって意識していないと、ぼくはばかだから、すぐに忘れる。それがいちばん、こわい。


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「さみしいよたすけてみすてないで」って、喚いていたら君がきた。『「さみしいよたすけてみすてないで」って、きみが言うのはすてきだねすきだよ』。「それはほんとうのすき?にせもの?」ってきいても、「もうさみしくしない?たすけて」って言っても、なんて聞いてもニッコリ笑って『ああ、きみはすてきだねぇ』って、君が言うから僕は少し安心した。君が僕を見つける前、見つけた瞬間、そして最後まで、僕が唯一訴えていたことを、君は額縁の外から愛で、一撫でして、それから満足して去っていった。 「すき?きらい?うれしい?たすけて?どこいくの?あきた?きみも?ねえこたえて?またわたし、さみしくなる?」 、なんてきいても君はずっと笑顔で、『ああ、きみは、すてきだねぇ』って言うだけだった。だから僕はまた諦めて、一人で喚くことにした。次の君が近づいてくる気配がゆるゆるとしてきたけど、もう僕は君には、何一つ期待しないことにした。きめた。



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おさけをわるものを考えていて、おさけをわるものと言えばソーダだろう(あまいやつ)!って思ったんだけど、わたし炭酸のおさけあんまりすきじゃなかった。じゃあお水でいっか、ああでもお水、冷やしたお水より常温で飲むほうが体によいというから別になにもかわなくていいか、って、何も買わずに帰ったけど、さすがにいいにおいのウイスキーがカルキくさくなるのはいやだなぁと思い、冷蔵庫を見回したらトニックがあった。結局しゅわしゅわしたものをのんでいるけど、トニックはおいしい。ごはんたべようかなっておもったけど結局、ウイスキートニックとキャラメルパンナコッタ食べてる。パンナコッタにもいつか、賞味期限というものが来るのかなという焦りの気持ちと、なんかわたし、ちゃいろいものばかり摂取してるなって気持ちで、結局何口か飲んでおなかがいっぱいになった。



自分の「すき」がダダ漏れるのはすごくきもちわるい、だって君がGのことが大嫌いだとして、Gが君のこと好きなあまり、部屋に大量発生し君の全身を蹂躙したらどう思う。「すきのダダ漏れ」は、ぼくにとってはそれと同じようなもので、だから極力漏れないように頑張っているのだけど、季節柄か、たまに大量発生することがある。いちおう待ち伏せゴキジェットは撒いてあるし毒餌も完備、がんばって片っ端からバルサンを炊く、でもやっぱり何匹か漏れちゃうから、そういうときは徹底的に、丸めた新聞紙で叩いてください。死に際に卵を産んだり、変な汁を垂れ流したりはしないので。





あと一口で食べられる量のキャラメルパンナコッタを5口くらいかけて食べて、コップにのこったちゃいろのしゅわしゅわを飲んだら、おふろはいります。











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