2015年11月18日水曜日

20151118-01

決定的な出来事があったから笹井君のことはもうわたし大丈夫、大丈夫っていうのは結構ですって意味、もういらないですって意味。笹井君がどんなに優しい声でわたしに話しかけてきても首を傾げても手を握ってもわたしもう大丈夫、なんどだっていらないって思える。
旧体育館はそりゃ人通りは少ないけれどわたしの所属する写真部の部室がよりによってその二階にある、つまり部室の窓から旧体育館裏は丸見えで、だから笹井君とEちゃんとのキスシーンもわたしにはばっちりはっきり見えた。『眼鏡と違って一日中つけっぱなしのコンタクトはあまり強い度で作ってしまうと疲れちゃうから1.0くらいがいいよ』、コンタクト屋のお姉さんの忠告通り作ったからわたしはコンタクトをつけても視力が0.9しかない、それでも二人がこう、高校生にふさわしくない濃厚なキスをしているのは十分わかったからわたしは部活のみんなが窓の外に目をやらないよう頑張って私語をした。わたしたちのような健全な高校生は、あんなもの、見てはいけない。


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わたしなにしているのだろうと東京タワー見ながら考える、スカイツリーじゃなくて東京タワー。東京タワーって車がないといけないと思っていた、だって近くにJRの駅がないから、でもわたし吉祥寺から新宿や渋谷まで歩けるし、それでも東京タワーには永遠にたどり着けないような気がする。



わたしのしらないところでしらないひとがしらないことをする、しらないままでいたい、できれば想像もしたくない。



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