2012年1月22日日曜日

おいしい料理のはなし

暴飲暴食、悪食を繰り返したある日ものすごくおいしいものを食べた、それはほんとうにおいしくて、今まで自分が食べていたものは果たして本当に食べ物だったのかと疑うほどに。
おいしかったので毎日食べた、それ以外の食べ物はすべて拒んだ、「わたしもう、これをたべられないなら、一生ごはんをたべなくてもいいな」

そうしてその食べ物が尽きてしまった。

みんな、「これをたべられないなら、一生ごはんをたべなくてもいいな」っていうのがうそだと思ってた。うそじゃなくても、大げさな、と思っていた。でもそのおんなのこは本当にそれ以外の食べ物を食べなかった。食べなくても、平気になったようだった。「ごはんを食べなくても死なない、しなないけどつまらない、でもつまらないものを食べてつまらない気分になるくらいなら、わたしあれ以外のものはもう口にしないようにしたの。」


君にとってはたしかにあれが史上最高の食べ物だったかもしれない、でもあれよりもおいしいものはきっと世の中にはまだまだあるし、君はまだ若い、ごはんもおかずもデザートも、この世にはおいしい食べ物はたくさん溢れているからそんなことをいうのはよしなさい、みんなそう思った。そう女の子も思った。でもそれでもやっぱり、「あれをたべられないのなら、なにかを食べる必要はないんじゃないかな、死なないし」って思った。「あれよりおいしいものに出会う可能性を潰しているって見方もわかる、わたしがもし他人だったらわたしにそういう、でもやっぱりわたしは、頭じゃなくて、舌で、わたしにとってあれよりおいしいものはこの世に存在しないし、わたしは食べ物が好きなわけじゃなくてあれがすきだっただけだから、やっぱり、あれをたべられないのなら、なにかを食べる必要なんてないんじゃないかなって思っちゃうな。」

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