2013年2月24日日曜日

20130224-01

バスはどんどん進み、見覚えのある駅前ロータリーに出た。見覚えがすごくあるのだけれど、ここがどこだか思い出せない、山形か富山の気がするけれどどこだろう、行ったことのあるお店がいくつか見えるし、わたしことあるごとにこの風景を夢にも見ている。
どこかなあって思っていたら通りと通りの間に雷門が見えて、あっ浅草かってわかった。
バスは満席だったのだけれど隣に座ったおばさんグループがわたしたちを肘で押してきて本当に不快で、だからわたしと妹は、停車するなり一目散にバスを後にする。

雷門をくぐるとそこは水族館になっていて、空気を入れて膨らませたボートのようなものでプールに漕ぎ出し、イルカを近くで見て触ることができる。わたしと妹はそれに乗り込む。
観光客が一気に押し寄せたからプールは一面ボートだらけで、イルカに触るどころか前に進むことすらできなくて難儀、そうこうしているうちに男の子が2人乗ったボートと接触してボートに水が入ってしまった。
慌てて水を掻き出しながらなんとかプールサイドまで移動、完全沈没は免れたのだけど結局イルカに触るどころか姿を見ることすらできなくて、わたしと妹はもう完全に不機嫌。

水族館の出口の横に小さなかまくらのような部屋があって、そこをのぞいてみると17段くらいの立派なお雛様があり、やることもないのでわたしたちはそれをぼおっと眺めた。
実家のお雛様は7段で、わたしはその大きさをわずかに誇りに思っていたのだけれど、ああやっぱり水族館の中のかまくらで飾られるようなお雛様は大きさもケタ違いだなあ、でもなんとなくお雛様の人形がわら人形っぽくて不思議だなって思いつつ同じように雛人形を見つめる人たちに視線をうつす、人間はわたしと妹だけでほかはみんな猫だった。
漫画じゃないんだから猫が二本足で立って雛人形を観察しているわけはなく、猫たちはそれぞれ思い思いの場所にデロンとだらしなく寝転んで、雛人形を見たり毛づくろいをしたりと忙しそうだった。
猫たちの鑑賞ペースに合わせると永遠にこのかまくらから出られないような気がしたので、わたしは妹を促して部屋を退出、バスのトランクにつめっぱなしだったボストンバッグを取りに急いだ。
意地悪なおばさんたちはまだバスの傍らで誰かの悪口に忙しい。わたしたちはできるだけそれを見ないよう、急いで母と祖母のもとへ。もう死んだはずの祖母はきちんと自分の両足で立っている。

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