2014年8月26日火曜日

20140826-01

「しょうがないな、でもだいじょうぶだよ、ゆるしてあげる」
わたしの体を無造作に弄る両手をじっと見てたらわたしのすきな人はわたしにとってこんなに都合のいい行動をしないと気付いたから顔をあげて彼を見た、そこにはわたしのすきな人はいなくて、わたしのすきな人の皮をかぶった何かがいた。あ、あくまだ、ってわたしはすぐに気付いたけど気付かないふりをした、なんでもいいからとにかく誰かに許してもらいたかった。
目が覚めたらあくまなんていなくて、のしかかるのは湿気を吸って重たくなった布団だけだった。とにかく誰かに許してもらいたいなんて嘘でしかなかった。

わたしは生きているだけで質量と熱を持つ。生きているだけで、というよりも、生きているから酸素を吸って二酸化炭素を吐く、つまり誰かの酸素を奪っているといってもよくて、存在自体が害悪だ。だからって生きるのをやめ熱を消しても質量が一瞬で消滅することはなく、それにより発生する些事で周りの人の手を煩わせるのは一番嫌で、だからこのまま誰かの酸素を奪いながら呼吸を続けるしかなかった。
わたしが呼吸を続けることで誰かに害をなしているということを意識してしまうと上手に呼吸ができなかった、でもわたしがすべきなのも呼吸でしかなくて、だからわたしは本を読んだ。本を読みながらだと上手に息が吸えて吐けた、酸素を肺のどこまで入れて二酸化炭素をどうやって吐ききるか、本を読んでいたら考えなくても済んだ。

おなかがすいてご飯を食べるたびに自分が浅はかで気持ち悪いと思うのに、眠ることに対しての罪悪感はなくて、なんなら一生眠っていたいと思う。冬眠したら呼吸も生体反応も最小限で済むんじゃないかなと思っていて、四肢を切断したりはできない以上わたしはわたし自身の質量を自分で変えることはできなくて、しかし眠っていればもしかしたら、気配みたいなものは限りなくゼロにできるんじゃないかな、そうしたらわたしは世界の片隅に、存在を許されることはないとしても、見逃してもらえるんじゃないかな。

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