2014年12月18日木曜日

20141218-01


CERO COREというゲームは、廃墟のようなゲームセンターの奥の奥にあった。
背の高さよりも高い筐体には左右に丸く青いボタンがついており、右の二つの青いボタンはAボタンとBボタン、左のボタンは右のものよりも一回り大きく、上下左右に矢印が書いてある。十字キーの役目を果たすのだろう。
古めかしい筐体とは裏腹に、表示されているキャラクターは美しく、古屋兎丸と桂正和を足して二で割ったような繊細さだった。しかしプレイヤーであるわたしからはその女の子の後ろ姿しか見えず、ひたすら十字キー(の役割を果たす、丸い青ボタン)の上を押して前へ前へと進んでゆくのだ。

美しく繊細な女の子は街中をひたすら駆け足で進む。いろんな人にぶつかり、ぶつかった相手がアクションを起こす。よろけてそのまま通り過ぎたり、殴りかかってきたり、反応は様々だ。Bボタンを押すとジャンプ、Aボタンはゲージが溜まると必殺技が使用できるらしい。
必殺技は男の子にしか使用できないから、ぶつかった通行人のふりをして襲ってくる魔法少女に対しては使用できず難儀する。ぶつかった瞬間鬼と化す魔法少女からは逃げるしかなく、わたしは頼りない丸い青ボタンの上をぐいぐいと押し込む。

そのうちゲージが溜まり、わたしはわざと男の子とぶつかる。必殺技を利用すると、その男の子と648秒話せる。仲良く会話をするその6分48秒の間に、男の子からごく自然に銀行の暗証番号を聞く。さっき必死で逃げた魔法少女から逃げ延びる直前、魔法少女にそのように指示されたから、わたしはなんとか暗証番号を聞き出す。魔法少女に殺されないよう逃げ、魔法少女の指示通り男の子をたぶらかす。CERO COREはそういうゲームだ。



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