2014年12月21日日曜日

20141221-01

砂が入ってスニーカーがわやになるから長靴を借りなければならない、潮風と砂のためにざらざらでごわごわになった髪の毛を櫛でとかしてはいけない。わたしはいますぐ列車に乗らなければいけない、白いマフラーを首に巻き鈍行電車に乗らなければならない。

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生まれたときから一度も世界に慣れたことなんてなかった、桜の木も真っ暗な星空も毎日目にしても毎日新鮮だった。美しいそれらの新鮮さはしかしわたしがそれに慣れていないという証左でもあって、つまりはわたしがこの世界に拒まれているという実感以外のなにものでもなかった。現実感なんて一度も感じたことがないからわたしはふわふわ浮いていたし、なのになぜここにいられたかというと呪いと温かい手のせいでしかなかった。

呪いがとけたらなにをしようなんて考えたことなかった、かけられた呪いをとくことしか頭になかった。呪いがかかったまま死ぬなんて考えられもしなかった、そうできたらなんて幸せだろうって何度も考えたけどできるわけがなかった。
ひたすら呪いをとくだけの毎日に日常が戻ってきた春、分不相応の夢を見てしまった。希望と期待とおこがましさはとてもよく似ていて、でもわたしはそれを取り違えるべきではなかったのだ。




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