2013年1月22日火曜日

20130122-01

手を叩いた合図で一斉にそれらは牙をむく、小さな体躯からは想像がつかないほど鋭い犬歯(文字通り、犬歯)を威嚇するように見せつけ喉の奥から低い音を出す。動物(人間含む)に例えば腕を噛まれたら逃げるのではなく寧ろ敢えて腕を押しつけるように喉にめり込ませ、そうすると相手は苦しくて口を放すと聞いたことがあるのに全く効かずそれどころか押しつけられた肉や筋を噛み千切ろうとしてくるからたちが悪い。もうこうなったらと噛まれた右腕はそのままに、左手をそいつの口に横から突っ込み上顎と下顎を(文字通り、上下に)まっぷたつに裂いてしまおうとするのに唾液で滑ってうまく行かない。なりふり構わず足掻いていたらなんとか腕が抜けたから、背中を見せないようにして超絶ダッシュで逃げ出した。引き戸とドアノブに手が掛かるタイプの扉(押す)はあいつら安易に開けられる、幸いなことにその部屋は仏壇のような観音開きだったからピタリと閉めて次の部屋へ急ぐ。
猫かー、と、声が出る。チワワに雑種犬に次は猫かー。わたしが部屋に入ってから誰かがパチンと手を鳴らすまで数十秒、それまで動物は正常でいるから本当ならばその隙に、彼らを“倒して”おくべきなのだけどまだわたしは動物虐待を平気でできるほどの精神状態ではなく、つまりまだ自分の危機を正しく認識できていなくて、そこまで自分でわかっているけどだって猫でしょう、可愛いんだもん。双方にとって最善の「この何十畳もあるだだっ広いお城のような畳の部屋を、数十秒で走り抜ける」をわたしは選択、アキレス腱にだけはなんとなく触れないで欲しい怖いからと祈りつつ思いっきり背中を見せて逃げ出した。そういえば今の部屋には兎もいたなあ、灰色のもこもこのおとなしそうなやつが何体も、あの子ら凶暴化したら仲間割れしないのかしらとか思いつつ、いやあこれ全部あの人が仕組んでいることだものそんな粗相はないのだろうなとか考えるうちに次の部屋。仏壇を大きくしたようなそこにはどんな大型生物が出てくるのかしらと思っていたらなんとゾンビで、ゾンビっていうともう字面からギャグ臭が若干漂い始めてくるのだけど要するに腐った/凶暴な/成人男性が左右からわらわら沸いてきて、いやぁこれは洒落ならん寧ろ触れただけでゲームオーバー案件だしそりゃもう必死で逃げたよね。指一本触れたら死ぬわたし間違いなく死ぬ、多分もう一間抜けたら逃げられる、建物の外に逃げたらもうセーフ、「神様!」って祈りたいとこだけどなんてったってここ仏壇だし、こんなとこでこんな目に遭ってるってことは神様仏様がもし存在してもそれはわたしを助けてなんて絶対くれない。
知能指数が低そうな敵/外に出れば勝ち逃げって条件/散乱する人が中に隠れられそうな家具/割れそうな窓、全部引っかけだ。あと一間、多分仏像のその奥の壁を壊して外に出る、それ以外は全部バッドエンド。

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死にたくなる朝目覚ましをかけ直す必要なんてわたしになくて、明日もまた目覚めなきゃいけない口実を作るためにわたしは社会に参加している。誰からも求められなくなったら自由に死ねるのにいざその自由を手に入れてもわたし何にも出来ないから、それならいっそ他の誰かに下らない理由で縛られよう。
「対価:金銭」以外の精神的な部分での必要性は全部嘘だしただの欺瞞で、つまりは今わたし満足だけど、わたしはわたしの全部を商品にするつもりはないし、つまりはそういうことだ。
勉強も仕事もコスプレをしてゲームしているみたいなもので、だからそれ自体が辛かったこと一度もないし、でもそれは多分防衛本能と効率化のための計算で、だからそれが今癖付いちゃって24時間息ができない。
嫌いじゃないし苦痛じゃないし何にもしんどいことはない、ただ息がしづらくて苦しくて、ベタな言い方すると閉じこめた本当の自分みたいなものが、世界中どこにもだれにも存在を認めてもらえないのが、しんどいっていう幼すぎるわがままだ。


わたし可哀想わたしえらいね、そう思わないとやってられないけどそう思えば思うほどまた「可哀想だけどえらい」状態を我慢して続けなきゃならないのだろうなと、思えてよけい死にたくなる。だからってこれを解放したらどうなるかわたし散々知っているから、多分一生共存は出来なくて、こうして押さえ込むしかない。


分裂したい分裂したい、多分わたしならわたしのこと上手にあやせるし甘やかして誉められる、二人で交互にそれ続けたら永久機関で頑張れる。



お兄ちゃん家からは自分で去った。お兄ちゃんの実家は地域的には被災地域ど真ん中で、縁側や干し柿思い出したら泣けてくる。希望的観測って10回唱える、見てないものはなかったことにする、連絡取れない人はどこかで元気に生きてるし、わたしがひどいことしたあの子も元気で生きてるし、わたしのしらないところでみんなきっと幸せになってるし、だけどわたしはまだ償ってないしその人たちには償えないから、ああまたこの話、いい加減飽きたしどうにかして。


誰かへの償いとかそういう問題じゃないってこと、自覚しつつあるからやりきれない。原因がわたしにあるにしてもいなくなったら死にたくなるほど大切だった人たちへの贖罪であって欲しかったのにそれですらなくて、じゃあ原因は徹頭徹尾わたしの中で、なんてやりきれないのだろ。


羨ましいと思わない、人のことも昔の自分のことも。わたしはわたしでしかないしどうあがいてもわたしだから、多分誰かに成り代わっても、絶対これから逃げられない。

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何のためかはわからないけど多分確認のためにそれをする。色んな立場がわたしにはあって、適切な振る舞いを全部やる。限界は多分こないと思う、わたし結局たくましくて、絶望で死ねなくて、それがとても、つらい。

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