2014年7月29日火曜日

20140729-01

ランコムが今秋出す新しいマスカラは『鱗』がテーマだった。

上睫毛にはエクステをしているので、わたしは下睫毛でマスカラを試すことにする。左目尻の睫毛にそっとブラシを当てると、まるで砂鉄が磁石にくっつくように黒い鱗が集まってきて短い睫毛を覆い、わたしの睫毛はすぐに三倍の太さになった。漆黒の鱗はシャンプーやトリートメントのCMで見たことがあるような髪の毛のキューティクル、あれに非常によく似ていた。
これはあれだ、いわゆる「ひじき」というやつだ、いただけないなと思いながらマスカラを左目尻から左目頭に滑らせるがもう不自然に太くなることもなく長さだけが出て全体が綺麗に伸びる。おおさすがランコムきれいに伸びる、それにしても確かに最初に液をしごくのを忘れていたとはいえ左目尻の下睫毛は失敗にもほどがあるだろうと思いつつリムーバーを含ませた綿棒で拭うけど一向に取れないどころか鱗は段々と増大する。キューティクルのようなそれはその一枚一枚を肉眼で確認できる程度に大きく太く成長し、強力なウォータープルーフすら容易に落とせるこのアイメイクリムーバーでも対抗することは難しそうだった。わたしは諦め右下睫毛にとりかかる、今度は目尻から目頭まで綺麗に塗れる。
そうしている間にも左目尻の一本を覆う鱗は自身が生きているかのように増殖を続け、今ではもう数ミリの太さになっている。

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